Ⅴ.技術的トピックス

非在来型資源

 構造性天然ガスも水溶性天然ガスも、ともに、孔隙率、浸透率の高い岩石層(主に砂岩)などが貯留層となっており、そこから油ガスやかん水をくみ上げて生産しています。こういった通常の稼行対象となっている石油・天然ガス資源を在来型資源と呼び、それ以外の石油・天然ガス資源を非在来型資源と呼びます。(水溶性天然ガスを非在来型資源に分類する場合もあります。)

 非在来型資源には、石油では、オイルサンド、オイルシェール(油母頁岩)、シェールオイル(海外ではタイトオイルと呼ばれている。)、天然ガスでは、タイトサンドガス、シェールガス、コールベッドメタン(CBM)、メタンハイドレートといった種類があります。

 現在北米で注目されているシェールオイル、シェールガスは、固い頁岩の中に含まれる油ガスで、従来、採取する方法がありませんでした。近年、頁岩に高圧で水を注入し割れ目を人工的に作って浸み出してくる油ガスを採取する「水圧破砕」技術、及び地層に沿って井戸を水平に掘削する「水平坑井」掘削技術が進んだことで、一気に開発が進んでいます。
 
 構造性天然ガスは、有機物を含む根源岩が続成作用を受ける間に、分解された有機物が地層中を移動して、不浸透層(キャップロック)でトラップされ、貯留されて、油ガス田となったものです。しかし、もともとの根源岩には、移動せずに残された未熟成の油ガスが存在する可能性があります。シェールオイル、シェールガスは、こういった根源岩に着目し、油ガスを採取しようとするものです。

 わが国では、明治時代より油ガスが採取されてきましたが、未熟成の油ガスが頁岩中に残されているかどうかを見ていく必要があります。平成24年10月、秋田県において、シェールオイルに係る実証試験が行われ、頁岩層である女川層から油を抽出することに成功しました。ただし、事業化までには、更なる研究開発が必要と考えられています。


メタンハイドレート

 メタンハイドレートは、水分子が、メタンをバスケット状に取り囲んだ物質で、一定の圧力・温度条件下で固体として存在し、自然界には、低温高圧の海底下や永久凍土の下に存在します。ガスの起源は堆積物中の有機物であり、主に微生物分解によって形成されたものと考えられ、水溶性天然ガスとの起源の類似性が考えられます。
 日本近海には世界有数のメタンハイドレートが賦存するといわれており、本州、四国、九州といった西日本地方の南側の南海トラフに最大の推定埋蔵域があり、北海道周辺、新潟県沖、南西諸島沖にも存在することが確認されています。

 しかし、メタンハイドレートは、一定の圧力・温度条件の下で固体として安定して存在していますが、海底で採掘しても地上に引き上げる過程で気体に変化してしまうことから、採掘が難しいとされてきました。
 わが国では、 海底下でメタンハイドレートの圧力条件を下げることにより、メタンハイドレートを分解させてメタンガスを採取する「減圧法」に着目し、平成25年3月に愛知県沖合において、初めての産出試験に成功しました。今後とも、事業化のため更なる研究開発が継続されています。


CCUS

 二酸化炭素を回収し、各所から集めた後有効利用したり、自然の地下構造を利用し貯蔵すること(Carbon dioxidide Capture, Utilization and Storage)です。カーボンニュートラルの実現には様々な方法がありますが、避けられず発生する二酸化炭素に対応するためにCCSUは必要な技術です。

 二酸化炭素の利用にはEOR/EGRと呼ばれる油ガス田の油ガス回収率向上を目指すものや、メタンに転換する(メタネーション)等の二酸化炭素を他の物質に転換する技術がなどが含まれています。

 貯蔵においては既存の油ガス田や、漏洩等の恐れが無い貯蔵に適した地下の帯水層等の地下構造が対象と考えられています。


フィルム型ペロブスカイト太陽電池

 ペロブスカイト結晶を用いた半導体を使用した太陽光発電方式。現在主流のシリコンを使用する方式と異なり、軽く薄いフィルム状にできる特徴があります。
 
 ペロブスカイト製造にはヨウ素が使用されています。最近では発電効率も改善してきており、軽くて曲面への設置が可能な特徴を生かし、耐久性向上及び製造品質の安定などを目指したの実用化試験が官民各所で行われています。
 
 ペロブスカイト太陽電池に関する最初の論文は2009年に日本の研究グループから発表されています。

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